法華講員との対話:教養って必要ですか?(ドストエフスキー・ニーチェ・ハイデガー)
1 そもそも教養って何?
教養(きょうよう)とは個人の人格や学習に結びついた知識や行いのこと。これに関連した学問や芸術、および精神修養などの教育、文化的諸活動を含める場合もある。一般に、独立した人間が持っているべきと考えられる一定レベルの様々な分野にわたる知識や常識と、古典文学や芸術など質の高い文化に対する幅広い造詣が、品位や人格および、物事に対する理解力や創造力に結びついている状態を指す。教養 - Wikipedia
分かったような、分からないような・・・(;´д`)・・・。
私は思想の源泉となるもののことだと思っています。
思想(しそう、英: thought)は、人間が自分自身および自分の周囲について、あるいは自分が感じ思考できるものごとについて抱く、あるまとまった考えのことである。単なる直観とは区別され、感じた事(テーマ)を基に思索し、直観で得たものを反省的に洗練して言語・言葉としてまとめること。また、まとめたもの。哲学や宗教の一部との区分は曖昧である。なお、その時代が占める思想の潮流(時勢)のことを思潮と呼ぶ。思想 - Wikipedia
要するに、自分の思想の源泉となる素材であり、自分の生きている時代から乖離していないものということかな。他者との共感性・話し合いを求めうるものの、土台となるテキストともいえよう。
江戸時代・明治期くらいまでなら、論語を筆頭に四書五経や諸子百家でも良かろうし、仏家の諸宗・異流儀・新興宗教団体との話し合いなら、法華経や大聖人御書となる。
いわば、実りあるコミュニケーションの為に大いに役立つテキストのことと、それを自分なりに咀嚼した人格・言説を教養と呼ぶことにしたい。
2 現代の教養テキストとは?
出口治朗さんがお勧めする108冊の中から選んでみてもいいかもしれない。
Contents
1 本書で紹介されている「108冊」全紹介
2 まえがき
3 1.リーダーシップを磨くうえで役に立つ本
4 2.人間力を高めたいと思うあなたに相応しい本
5 3.仕事上の意思決定に悩んだ時に背中を押してくれる本
6 4.自分の頭で未来を予測する時にヒントになる本
7 5.複雑な現在をひもとくために不可欠な本
8 6.国家と政治を理解するために押さえるべき本
9 7.グローバリゼーションに対する理解を深めてくれる本
10 8.老いを実感したあなたが勇気づけられる本
11 9.生きることに迷った時に傍らに置く本
12 10.新たな人生に旅立つあなたに捧げる本
13 もっと教養を高めるために
14 まとめ
15 <著者>
あくまでも、ビジネスに効くという側面からの選出であることは理解しておきたいけども。良書が選ばれていると思う。このリストの中のいくつかは、私もよく読んだ本が入っている。
3 私個人の教養本オススメ三人衆
ロシアの文豪。今は「悪霊」を再読中。ドストエフスキーは、革命サークルに加盟していた罪で死刑宣告をされた後、銃殺になる直前に恩赦となり、シベリア流刑に減刑されるという、強烈な人生経験を持つ。この人の作品は、信仰(善)と無信仰(悪)の葛藤の中で生きる自身の考えを、登場人物に語らせるのが真骨頂。また、同人物の矛盾した心理を描くのがうまい。仏教には通暁していなかったらしいが、天才的な文学的才能で、直観的に十界互具の妙理を小説化することに成功していると思う。
4大小説には人生の全て、世界の全てが描出されているといわれている。東大教授が学生に読ませたい本NO.1に選出されたり、村上春樹が理想としていたりと、現代を生きるには必須の教養作家。
「神は死んだ」で有名な哲学者。西洋人の存立基盤たる、キリスト教を徹底的に批判した。一神教的神に変わる思想とは何か?キリスト教(西洋思想)のどこがヤバイのか、徹底的にわかる本を書き遺している。
キリスト教は邪教です! 現代語訳『アンチクリスト』 (講談社+α新書)
- 作者: フリードリッヒ・ニーチェ,適菜収
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/04/21
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適菜収氏の「キリスト教は邪教です」は、超オススメ本。アラブは怖くてキリスト教はやさしい、なんて与太話を鵜呑みにしている日本人は、全員読むべきだと思う。いかに我々の頭がキリスト教に洗脳されているかがよくわかるから。
難解に過ぎるといわれる哲学者。ハイデガーも第一次大戦に従軍し、多くの戦友の死を見ながら生還した人。書斎には前出のドストエフスキーの肖像画が掲げられていたとか。また、ニーチェの哲学とも格闘し、そのものズバリの書名「ニーチェ」を著した。
- 作者: マルティンハイデッガー,Martin Heidegger,細谷貞雄,輪田稔,杉田泰一
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1997/01/13
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- 作者: マルティンハイデッガー,Martin Heidegger,細谷貞雄,船橋弘,加藤登之男
- 出版社/メーカー: 平凡社
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哲学者として最も根源的な「存在とは何か?」を問うた人。主著の「存在と時間」様々な翻訳が存在するので、どれを選ぶかも重要。いきなり「存在と時間」を読む前に、
の2冊を読んでおけば、導入としては万全だし、なぜ読むべきなのかがよくわかる。
ドストエフスキー・ニーチェ・ハイデガーは、いずれも多種類の翻訳が揃った、重要人物なのだ。翻訳文明が盛んな日本に生きていることを喜びたい。
そして、なぜ、日本でだけこの三人が、こんなにも読まれるのか。翻訳が何種類も出るとはどういうことなのか。それだけ、我々にとって重要であり、読まずに死ねない思想家たちなのである。
私がこの三人衆に出会ったのは、大学一年生の時のオリエンテーリングで、恩師の木田元教授から教えてもらったから。木田元先生も復員特攻隊員で、一度は死を条件づけられていた人。死刑宣告から蘇ってきた人なんだ。木田先生に出会えて、人生が充実したと思っている。
4 最後にこっそりと
日蓮正宗創価時代にさんざん馬鹿にされた、哲学科進学の件について。
日興遺誡置文(にっこうゆいかいおきぶみ)の
日興遺誡置文
夫れ以みれば末法弘通の恵日は極悪謗法の闇を照し久遠寿量の妙風は伽耶始成の権門を吹き払う、於戲仏法に値うこと希にして喩を曇華の蕚に仮り類を浮木の穴に比せん、尚以て足らざる者か、爰に我等宿縁深厚なるに依つて幸に此の経に遇い奉ることを得、随つて後学の為に条目を筆端に染むる事、偏に広宣流布の金言を仰がんが為なり。
一、富士の立義聊も先師の御弘通に違せざる事。
一、五人の立義一一に先師の御弘通に違する事。
一、御書何れも偽書に擬し当門流を毀謗せん者之有る可し、若し加様の悪侶出来せば親近す可からざる事。
一、偽書を造つて御書と号し本迹一致の修行を致す者は師子身中の虫と心得可き事。
一、謗法を呵責せずして遊戲雑談の化儀並に外書歌道を好む可からざる事。
一、檀那の社参物詣を禁ず可し、何に況んや其の器にして一見と称して謗法を致せる悪鬼乱入の寺社に詣ず可け んや、返す返すも口惜しき次第なり、是れ全く己義に非ず経文御抄等に任す云云。
一、器用の弟子に於ては師匠の諸事を許し閣き御抄以下の諸聖教を教学す可き事。一、学問未練にして名聞名利の大衆は予が末流に叶う可からざる事。
一、予が後代の徒衆等権実を弁えざるの間は父母師匠の恩を振り捨て出離証道の為に本寺に詣で学文す可き事。
一、義道の落居無くして天台の学文す可からざる事。
一、当門流に於ては御書を心肝に染め極理を師伝して若し間有らば台家を聞く可き事。
一、論議講説等を好み自余を交ゆ可からざる事。
一、未だ広宣流布せざる間は身命を捨て随力弘通を致す可き事。
一、身軽法重の行者に於ては下劣の法師為りと雖も当如敬仏の道理に任せて信敬を致す可き事。
一、弘通の法師に於ては下輩為りと雖も老僧の思を為す可き事。
一、下劣の者為りと雖も我より智勝れたる者をば仰いで師匠とす可き事。
一、時の貫首為りと雖も仏法に相違して己義を構えば之を用う可からざる事。
一、衆議為りと雖も仏法に相違有らば貫首之を摧く可き事。
一、衣の墨・黒くすべからざる事。
一、直綴を着す可からざる事。
一、謗法と同座す可からず与同罪を恐る可き事。
一、謗法の供養を請く可からざる事。
一、刀杖等に於ては仏法守護の為に之を許す。
但し出仕の時節は帯す可からざるか、若し其れ大衆等に於ては之を許す可きかの事。
一、若輩為りと雖も高位の檀那自り末座に居る可からざる事。
赤字で示した4箇条に背くとも言われたし、「仏法が最高なんだから、低い哲学なんて学ぶ必要などないでしょう?御書を読めばいいんだよ」とも言われた。顕正会でも言われたし、法華講でも似たようなことを言われた。
しかし、本当に学ぶ意味などないのだろうか?50歳近くになる現在まで、私はドストエフスキー・ニーチェ・ハイデガーの格闘してきた、実存の問題は自分の思想上の大問題であると思っているし、近代社会は超克できていない問題であると思っている。
人間の深い業を描いた教養本を読まずに死ねるか!
そう思い続けている。