上巻の終わりのほうまで読み進んだ。
"ラスコーリニコフ"に出会ったのは、中学のころ。
塾の講師が熱に浮かされたように、閑話休題のなかで教えてくれた。
以来、何度読んだことか。
何度読んでも小説の中に自分の分身を見つけてしまう。
"ラスコーリニコフ"は俺だ。
"マルメラードフ"は俺だ。
"ルージン"は俺だ。
要するに俺は、
妄想癖のある理屈屋で、小心者だ。
アルコール依存症の怠け者だ。
ケチで小狡い人間の屑だ。
"ラズミーヒン"のような、男らしい人間になりたい。
ドストエフスキーはもしかして俺のことを知っているのか?
"悪霊"、"カラマーゾフの兄弟"には俺の分身がわんさとお出ましになる。
日本で言えば江戸時代末期から明治初期を生きた男、"ドストエフスキー"。
200年前から現代を見通していたというのか。
死刑の直前までいった男。
起死回生の人生で生み出された作品が、今を生きる私を呪縛する。
革命の"嘘"を見抜き切った男。ナポレオンもヒトラーもスターリンも毛沢東も。。。
みんなラスコーリニコフであり、ピョートルであり、イワン・カラマーゾフなのだ。
みんな虚像の中の偶像(アイドル)であり、英雄などではなかった。