日蓮正宗のススメ

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1150夜:人は、なぜ他人を許せないのか?  中野信子(著) 読了

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感銘を受けたので、2回読みました

ホリー@本をタダで配る古本屋 (@HOLLIE) | Twitterさんの、#古本屋の毎日プレゼント企画 hashtag on Twitterに応募してみたら、当選しました。
後日、きれいな本をお送りいただき感謝しています。
早速読みました。
自分自身、あまりにも思い当たるフシが多すぎて、言い尽くせない思いに覆われています。
人間は、自分が正義であると思い込むと、ターゲットを攻撃することに躊躇することがなくなります。
いや、むしろ、脳内に放出されるドーパミンによって、快楽すら感じるのだとか。
そのような正義感の満足に溺れてしまった状態を、正義中毒とネーミングしたのがどハマりして、多くの人々の共感を呼んでいるのでしょう。
私は著者の中野信子さんと同じく、正義系宗教の代表的存在、創価学会の2世としてこの世に生まれましたので、彼女のアンビバレントな気持ちもよく分かります。
彼女が本書の中で、法華経や大聖人様について言及しているところは、ある種のカミングアウトなんだろうと。
全否定でもなく全肯定でもない、そんな彼女の気持ちが痛いほど分かるのです。
人間が進化の過程において、サヴァイヴするのに必要だった他者に共感する能力。
チームワークの源泉であり、そこから派生的に因果推察能力(理性)が発達してきました。
それが今やブーメランになって、私たち自身を苦しめているのです。
その辺の詳しい考察は、250年も前にアダムスミスが道徳感情論 (日経BPクラシックス)にて、観察から得た深い哲学的思索で粗方解明していることではあるのですが。
進化心理学脳科学は、アダムスミスの哲学的知見の正しさを裏付けているにすぎないのかもしれません。

管賀 江留郎(かんが えるろう)氏の考察は、正義中毒以外の要素についても言及していますが、大元はズルをした人を罰したいという欲求が、道徳の源泉であるということであり、名誉欲や金銭欲の源泉として繋がってくることを明快に解説してくれています。
しかし、中野さんの考察は的を得ていて、しかも的を絞っていますので、人類の感情構造について学ぶのには最適の本であろうと思います。
そして、なによりも大切なことは、正義中毒について理解することで、自分自身がこれから新たな正義中毒に加担することを防ぐ効果があるということです。
他人に制裁を加えることを喜びとするような、不毛な議論や人生から解放してくれるきっかけを与えてくれるでしょう。
私は、この本を読んで、荘子を注文しました。

現代の数倍、生きにくく世知辛い古代中国で生まれた、自由思想。
老子易経とともに、自傷他害から守ってくれる本だと思います。
自然の中に無為に生きる。
これこそが、現代の集合知(インターネット)時代に必要な思想ではないでしょうか。
すばらしい本を贈ってくださった、ホリーさんに感謝します。