
誰かに相談する前に読むといいかもです。
久しぶりにamazonにレビューを書きました。
哲学ってやっぱ人生論だよなーって思いましたね。
國分功一郎さんの人生相談なんですが、人生相談≒人生論≒哲学という、そんな感想を持ちました。
レビューにも書きましたが、人の心の引っ掛かりみたいなものって、相談のメールに書かれてないところに存在するというのが、この本の核心かもしれません。
その読み取り方といいますか、推察する力がすごい。
相談内容も自分の人生に重なって、自分の代わりにどこかの誰かが相談してくれているように思いましたね。
あっという間に読み終えてしまいました。
2020年4月29日に日本でレビュー済み
人生相談と聞けば何を想い浮かべるでしょうか?
著名人が自身の考えを一方的に押し付ける、独断の世界でしょうか?
当たり障りのない教科書的な回答が羅列されている、タテマエの見本市でしょうか?
私はこの本に出会って、自分の人生を俯瞰することが出来るようになりました。
自分に嘘をつくことがなくなりました。
自分の抱えていた人生の問題に向き合うことが出来るようになりました。
それは、相談相手である國分さんの、読解力のすごさに起因しているように思われます。
相談者の送り付けてくる文面だけから、可能な限りの可能性を読み取る力。
ここに、この本のすごさがあります。
人生相談の答えに正しさがあるのかどうかは分かりませんが、相談者の質問の多くは私が相談したかった事柄の多くに当てはまりました。
そして、その回答は、私のボヤっとした欲求不満の核心を教えてくれました。
哲学とは何か?この古来より問い続けられてきた問いに、一つの回答を示してくれている様にも受け取れました。
哲学とは、ボヤっとした疑問や不満に、可能な限り大きく明るい光を照射して陰影を浮かび上がらせ、その姿を浮かび上がらせることでないだろうかと。
國分さんの回答が質問者を納得させたかどうかは分かりません。
でも、質問者と同じ相談を誰かにできなかった私は、自分のボヤっとした相談事に向き合えました。
薄い本ですが、万巻の書に匹敵する重厚さを内に秘めています。
出版社からのコメント
ささやかな悩みから、深刻で重大な問題まで、
「哲学は人生論である」が持論の気鋭の哲学者・
國分功一郎氏(
東京大学教養学部准教授)が34の相談に全身全霊で答えます。
質問のいくつかは、たとえばこのようなものです。
・自分に嘘をつくってどういうこと?
・母と母の夫になじめない
・先が見えず不安。自信を持つには?
・哲学の勉強をするには?
・抑え難い復讐心があるのだが……「書かれていることだけを読んでいてはダメである。
人生相談においてはとりわけ、言われていないことこそが重要である。
人は本当に大切なことを言わないのであり、それを探り当てなければならない」
(本書あとがきより)
國分先生の本気度200%の回答をぜひご堪能ください!
【第一部】 愛、欲望、そして心の穴
——失業の救済は知らないが個人の救済は勉強だ!
【第二部】 プライドと蔑みと結婚と
——ダダダダッ、ダッダダ
【第三部】 仕事も情熱も相談も
——反革命の思想こそがやさしさを……
【あとがき】 哲学は人生論でなければならない《解説・千葉雅也》
内容(「BOOK」データベースより)
自分に嘘をつくってどういうこと?悪人のレッテルを貼られて困っている。先が見えず不安、自信を持つにはどうしたらいいの?ささやかな悩みから深刻かつ重大な問題まで「哲学は人生論である」が持論の気鋭の哲学者が、34の相談に全身全霊で答える。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
國分/功一郎
1974年千葉県生まれ。哲学者、
東京大学総合文化研究科・
教養学部准教授。
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は哲学・
現代思想。著書に、『
スピノザの方法』、『暇と退屈の
倫理学』(第2回
紀伊國屋じんぶん大賞)、『中動態の世界』(第16回
小林秀雄賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)