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あなたの悩み、エピクテトス先生に聞いてみよう8:「心像の正しい使用」とは? (その一)

 

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【25分で解説】『自省録』|マルクス・アウレリウス〜アウレリウス先生の質問コーナー〜

前回は理性について勉強しました。

エピクテトス先生は、こういう言い方をしていたね。人間が備えている他の諸能力は、いずれも自分自身を考察するものでない。だからそれらの諸能力は、自分自身を是認したり、否認したりするものではない、と。

ここで他の諸能力とは、たとえば物を読んだり書いたりする能力のこと。こうした諸能力と違って、自分自身を考察できる能力が、ひとつだけあると先生は言いたいわけだ。

たとえば、手紙になにを書くか、あるいはそもそも手紙を書くか書かないかは、書くという能力では決められない。それを決めるのは、理性的能力をおいてほかにはない。

理性とは人間が行うあらゆることについて判断する能力というわけだ。

理性こそがわれわれの権内にある唯一の能力だという。

エピクテトス哲学の要である権内/権外の区別そのものが、理性的能力に支えられているというわけだ。

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前回は理性という言葉の来歴について学んだけれど、こんどはその内実を探っていこう。

そのためには、ここでひとつ、おもしろい言葉というか概念を導入する必要がある。

神々はすべてのうちで最も有力で肝要なもの、すなわち心像の正しい使用だけはこれをわれわれの権内に置いたが、その他のものはこれをわれわれの権内に置かなかった。

「正しい使用」はわかるとして、「心像」かあ。わかるような気もするけど……

どんな概念なんだろう。これも由来を知りたいね。

原語では「パンタシア」(ファンタシア)といって、これは英語でお馴染みのfantasyの語源でもある言葉。

英語の場合、「空想」とか「幻想文学」という場合の「幻想」といった意味。どちらかというと現実離れしている感じだよね。

 パンタシアのほうは「人間の意識や精神になんらかの対象が現れること」といった意味の他に、「想像力」という意味もあるようだね。

それを聞くと「心像」という漢語も腑に落ちる。心になんらかの像が浮かぶということだ。というよりも、そのままといってよい訳語。

ちなみに英訳では“external impressions”と訳している。

ほう、ちょっと踏み込んで「外界についての印象」としてるんだ。

日本語では扱いにくいけれど、複数形になっている。実際にはギリシア語のほうも「パンタシアイス」と複数形なので、英訳はそれを受けているわけだ。

もろもろの心像。

 英訳の解釈は「外からやってくる印象」ということだけど、さっきのパンタシアの意味を素朴に考えると、外からやってくるか、内からやってくるかはともかくとして、意識になにかが現れるというふうに読めそうだね。

辞書によっては「直接であれ記憶の中であれ、真実であれ幻想であれ」と書いてあったりする。つまり、いままさに知覚していることでも、過去の記憶によることでも、本当のことでも、そうでなくても、というわけだ。

面白いね。これって、西洋哲学で連綿と続いている認識論の議論でつねに論じられてきたことでもあるね。

まさに。人間は世界をどんなふうに認識しているのか、認識できるのか、はたまたできないのか、という問題だね。

英訳者はこれを「外からやってくる印象」としているところを見ると、内からやってくる印象、つまり記憶に基づく印象ではない、と捉えている。

では、実際のところエピクテトス先生は、どんな意味で、この「心像」という概念を使っているのか。これが見所だ。

次回は、その疑問を念頭に置きながら、「心像の正しい使用」とはどういうことなのか、探っていこうか。

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奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために