時を知る
日蓮大聖人は時について『教機時国抄』に、
「三に時(じ)とは、仏教を弘めん人は必ず時(とき)を知るべし。譬へば農人(のうにん)の秋冬田作るに種と地と人の功労とは違(たが)はざれども一分(いちぶん)も益(やく)無く還(かえ)って損す、一段を作る者は少損(しょうそん)なり、一町二町等の者は大損(だいそん)なり、春夏耕作すれば上中下に随って皆分々(ぶんぶん)に益有るが如し。仏法も亦復(またまた)是くの如し。時を知らずして法を弘むれば益無き上還って悪道に堕(だ)するなり。」(御書270)
と御教示であります。仏法を弘めるには、時が大事であると仰せで、折伏は、時を重視して行うところ、成果に結びつきます。機根を十分に察した上、折伏する相手が、一番、話を聞いてくれやすい時を見逃さないことです。時を無視しては、到底、折伏成就を望むことは出来ません。逆縁は結べても、相手の速やかな発心を遠ざける結果になります。それが、『教機時国抄』の「時を知らずして法を弘むれば益無き上還って悪道に堕(だ)するなり」という日蓮大聖人の御指南です。私達は時として、焦りや感情が先走り、無謀な折伏をしかねません。勤行唱題を根本に、身口意の三業を調えて折伏することです。
正しい仏法を弘める折伏以外にも、時を無視しては、生きていくことが出来ません。「時」を正確に知ることで人間関係を円滑にします。相手も時間によって動き、時間によって気持ちも変化します。時を知ると言うことは、機という相手の気持ちを知ることにも通じ、時に左右されて生きていることを理解しましょう。自己中心的な考えを払拭させるところに、時を正確に見る眼が養われます。
時を正確に掴んでいくことで、相手に気を使い、信心の異体同心を更に強力にします。時を知ることで、己自身の魔の働きを制止させ、悪道への道を閉ざす作用もあり、自己中心的な考えを改心させることが出来ます。
末法の衆生は、自分の主張を押し通そうとする傾向がありますが、その主張は、未来にどの様な影響を生むのか、厳密に考えていくべきです。そこに人間関係を円滑にする油が適度に注がれます。勤行唱題において、時を正確に読んでいく心がけを持つことで、自然と御本尊様から有り難い功徳が頂けるのです。
時を間違えると、私達が培った折角の努力と信念も、水の泡や焼け石に水となります。時を十分に知る事が大事です。時を正確に知って、タイミングを計り、自分が培った努力と信念を、その時だけに集中させれば、努力と信念も実を結ぶはずです。信心では、時を正確に掴み、努力と信念を確実にしていきます。
信心における勤行唱題で、その時を見逃さないタイミングを計っていきます。御本尊様から必ずいいタイミングを、御仏智によって頂けるはずです。その時が見えたら、生活に於ける様々の場面で、自分が培った努力と信念に躊躇(ためら)うことなく、信心に立脚した確信を持ち、降り注ぐことです。折伏もこの時ということを勤行唱題で観察し、成果に結び付けることが大事でしょう。
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