イアン・ブレマー、19年の【地政学的リスク】
国際政治学者のイアン・ブレマーさんは、「ユーラシア・グループ」の社長さん。
などのベストセラーで知られています。
そんなブレマーさん、週刊東洋経済12月29日ー1月5日合併号でインタビューに答えていました。
その答えが、とても「意外だな」と思いました。
質問
─ 19年の世界はどのような地政学的リスクに直面しますか?
皆さん、どう答えますか?
紙に答えを書いてみてください。
中国?
北朝鮮?
ロシア?
イラン?
シリア?
イアン・ブレマーさんの答えは・・・。
答え
<まっ先にトランプ大統領が挙げられる。>(137p)
超意外ですね。
トランプさんが、最大の「地政学リスクだ」というのです。
なぜ?
<外交面において同氏は非常に特異だ。前政権が進めていたTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱、また地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの脱退、イランへの経済制裁の復活など、単独主義が目立つ。>(同上)
なるほど〜。
昔からの読者さんは覚えておられるでしょうか?
パリ協定、イラン合意からの離脱、RPEでも批判していました。
米中戦争に勝たなければならないのに、自分から孤立してどうするの?と思います。
<トランプ大統領の外交政策の特徴は短期的な視点で物事を解決しようとすることだ
その結果、長期的に見れば米国の影響力が失われている。日本への「自動車関税」もその一例だ。米国にとって長い目で見れば欠かせない同盟国との信頼関係を損なっている。>(同上)
まさにその通りですね。
冷戦時代、米国は、かつての敵だった日本、ドイツ(西ドイツ)と和解して、ソ連と対峙しました。
それでも厳しいので、中共までも取り込んだ。
昔のアメリカは、「戦略的」でした。
ブッシュ(子)は、かなり単独主義的でした。
それでも、小泉さんの日本やイギリスなどとは、良好な関係を維持していた。
トランプさんは、どの国の首脳とあっても、「アメリカ・ファースト」。
自分の都合を遠慮なくぶつけてくる。
そして、その要求は、しばしばわがままな子供のように理不尽です。
アメリカは、中国との戦争に勝たなければならない。
それなら、同盟国との絆をますます強化し、さらに非同盟国すら引き込む行動をとらなければならない。
しかし、トランプさんには、ワシントンにも世界にも友達がいません。
ひょっとしたらネタニヤフさんはそうかもしれない。
その他の首脳たちは、あからさまに彼を嫌っているか、安倍総理のように「戦略的」に「好意」を示している。
ブレマーさんは、さらに率直です。
<今の米国にとって、国際関係における最大の問題は、トランプ大統領が尊敬に値する人物ではないということだ。>(同上)
国のトップがどんな人間であるかは、ホントに大事です。
特に覇権国家のトップがどんな人間であるかは・・・。
<米国以外では多くの人々がトランプ大統領を嫌っている。これまで米国が牽引してきた、国際貿易、安全保障、そして国際社会が築いてきた価値観を覆そうとしている。>
(同上)
そんなブレマーさんは、米中戦争についてどう考えているのでしょうか?
<中国が成長する中で、米国との対立は今後も避けられない事実で日本にも影響する。>(同上)
どうですか、皆さん。
世界的に有名な国際政治学者イアン・ブレマーさん、「最大の地政学リスク = トランプだ」とはユニークです。
しかし、おっしゃられていることは、イチイチもっともですね。
だからといって、
「トランプより習近平の方がマシ」とか、
「アメリカファーストより中国の夢の方がマシ」とか、
「アメリカを裏切って、中国につくのが良策」
なんて話にはなりません。
たとえルーズベルトが、「狂人」(フーバー元大統領曰く)だったとしても、もう一人の狂人ヒトラーの側についたことは、やはり間違いだったのです。
(2次大戦について、東南アジアを攻撃して石油を確保する。そして、真珠湾攻撃をしなければ、アメリカ世論は盛り上がらず、ルーズベルトも「公約違反の開戦はできなかっただろう」と倉山満先生が、なんどもおっしゃっています。私もそうなのかなと思います。)
2018年、米中覇権戦争がはじまりました。
それで、日本は米中の間を揺れています。
しかし、揺れてはならず、いつも同盟国アメリカの側にいるべきです。
戦勝国になりたければ、そうするしかありません。
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