全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
プーチンにとって、とても悪いニュースが三つ入ってきました。
▼ウクライナの盟友政治家逮捕
ytv news 4月13日を見てみましょう。
<ウクライナの治安当局は12日、ロシアのプーチン大統領と深い関係にあるとされる親ロシア派の有力政治家を逮捕したと発表しました。逮捕されたのはウクライナの親ロシア派の有力政治家、メドベチュク氏です。ロイター通信によりますとメドベチュク氏はロシアとの関係を重視するウクライナの野党で代表を務め、プーチン大統領とも深い親交を持つことで知られています。>
逮捕されたメドベチュクとは、何者でしょうか?
1954年生まれ。
1997年から2002年まで、ウクライナ議会議員でした。
2002年から05年まで、クチマ大統領(当時)の首席補佐官を務めていた。
2004年、いわゆる「オレンジ革命」が起こり、05年親欧米のユーシェンコ政権が誕生。
親ロシアのメドベチュクは、政治を離れます。
しかし、15年経って、政界への復帰を果たしました。
2019年7月、議会選挙が行われた。
1位は、ゼレンスキー大統領の「国民の奉仕者」。
2位は、メドベチュクの親ロシア政党「野党プラットフォームー生活党」。
彼は、「非常にプーチンに近い人物」として知られています。
どのくらい近いのか?
メドベチュクには、2人の娘がいます。
1982年生まれの長女イリーナ。
2004年生まれの次女ダリヤ。
ダリヤは、正教会で洗礼を受けています。
で、洗礼を受けるとき、正教会(カトリックも)では、代父、代母がいるのです。
ロシア語でいうと代父は「クリョースニー」、代母は「クリョースナヤ」。
英語で、いうと「ゴッドファーザー」と「ゴッドマザー」です。
マフィアのボスもゴッドファーザーですが、ここでは違う意味です。
辞書には、こうあります。
<教会で、子供の洗礼に付き添い、精神的親としてその子の信仰の深まりを助ける人。>
で、メドベチュクの次女ダリヤの「ゴッドファーザー」は誰だかわかりますか?
プーチンなのです!
これ、正教会的にはどうなのでしょうか?
ロシア正教では、洗礼を受ける子どもの父親母親は、自分にもっとも近い人に、「ゴッドファーザー」「ゴッドマザー」になってくれるよう頼みます。
なぜ?
自分たちに何かあった(たとえば亡くなった)時に、自分たちの代わりに、ゴッドファーザー、ゴッドマザーが残された子供を世話し、育ててくれることを期待するのです。
だから、メドベチュクが死んだら、プーチンがダリヤの面倒をずっと見つづけることになります。
メドベチュクが、どれだけプーチンと近い関係か、想像できるでしょう。
そんなメドベチュクは2021年5月、クリミアの資産を横領しようとした罪で、自宅軟禁させられました。
2022年2月、ウクライナ侵攻がはじまると、彼は逃亡。
そして、4月12日、発見されて再逮捕されたという流れなのです。
ウクライナの盟友逮捕。
プーチンは、激怒しているに違いありません。
▼黒海艦隊の旗艦が沈没!
二つ目の悪いニュースは、ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」が沈没したことです。
4月14日BBC NEWS JAPANを見てみましょう。
<ロシア国防省は14日、黒海艦隊の旗艦である巡洋艦「モスクワ」が爆発によって「重大な損傷」を被り、乗組員全員が退避したと明らかにした。>
結局モスクワは沈んだのですが、原因は何でしょうか?
<ロシアは爆発の原因を明確にしていないが、ウクライナはミサイル「ネプチューン」で攻撃したとしている。>
実際は、どうなのでしょうか?
そのうちはっきりするでしょう。
もしウクライナのミサイルで、黒海艦隊の旗艦が沈没したとなると重大事件ですね。
旗艦 = つまり黒海艦隊の「司令塔」ですから。
<アナリストらは、今回の爆発がウクライナによるミサイル攻撃によるものだった場合、軍事的に象徴的な意味があるとしている。米海軍大学ロシア海洋研究所長のマイケル・ピーターセン教授は、BBCのラジオ番組で、「これはロシアの黒海艦隊の旗艦であり、少し老朽化はしているが、黒海におけるロシア海軍力の象徴だ」と説明。ウクライナは2014年にクリミアがロシアに併合された際に、海軍の大部分をロシアに奪われているとし、「それでもウクライナが、ロシアに大きな痛手を与えるやり方でロシアの軍事力を攻撃できているのは、象徴的な意味で重要だ」と述べた。>
黒海艦隊の旗艦が、沈没した。
プーチンの驚きと衝撃は、いかばかりでしょうか?
BBC NEWS JAPAN 4月14日を見てみましょう。
<フィンランドのサンナ・マリン首相は13日、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請するか、「数週間以内に」決めると表明した。マリン首相はこの日、スウェーデンのマグダレナ・アンデション首相とストックホルムで会談。終了後に共同記者会見に臨み、NATO加盟申請についての決断を遅らせる理由はないと述べた。>
ロシアの北の隣国フィンランドは、今年夏にもNATOに加盟する可能性が高くなってきました。
スウェーデンも、それにつづきます。
両国は今まで、「NATOに加盟する必要はない」と考えていた。
しかし、ウクライナの悲劇を見て、「加盟国でなければアメリカやNATOは守ってくれない」と気がついた。
それで、ウクライナ侵攻後、NATO加盟を支持する人が急増したのです。
<NATO加盟を支持する人は、2月の世論調査では28%だったが、3月には62%に増えた。>(同上)
プーチンは、ウクライナのNATO加盟を阻止するために、侵攻を決断した。
現在30か国からなる反ロシア軍事同盟NATOメンバーをこれ以上増やさないぞと。
ところが、1か国の加盟を阻止しようとしたら。
2か国加盟国が増えてしまう。
愚かな結果になってしまいます。
北の隣国がNATO加盟を目指す。
プーチンは、卒倒したことでしょう。
▼フィンランド侵攻の可能性
というわけで、
4月12日、プーチンの盟友メドベチュク逮捕
4月13日、フィンランドとスウェーデンがNATO加盟の意向を表明
4月14日、黒海艦隊旗艦「モスクワ」沈没
プーチンに「とても悪いニュース」が連日起こっています。
今私が懸念しているのは、「プーチンがフィンランド侵攻の決断を下すのではないか」ということです。
普通に考えたら「そんな、バカな!!!」ですよね。
「ウクライナとの戦いに苦戦しているロシア軍が、フィンランドとも戦う????」
常識的に考えたら、「絶対ありえない!」です。
私も、そうならないことを願っています。
私は去年の12月14日、現代ビジネスに以下のように書きました。
<プーチンはかつて、欧米からの制裁を恐れずに、クリミア併合を断行した。だから、バイデンの「制裁カード」でプーチンを止めることができるか、100%の確信は持てない。もしも、ロシアがウクライナ侵攻を決意すれば、いわゆるウクライナ東部「親ロシア派」ルガンスク州、ドネツク州を完全に「独立」させるだろう。>
私は、「プーチンは武力行使をもっとも躊躇しない男」であることを知っていました。
だから、4か月前に「ウクライナ侵攻の可能性がある」ことを理解していた。
しかし、ほとんどの人は、「ウクライナ侵攻なんてありえない!」と思っていたでしょう。
現在、ロシアの「フィンランド侵攻」は、「絶対あり得ない!」という感じでしょう。
私も、そう願います。
ですが、プーチンは、「戦略的決断」をしないのです。
彼は、いつも「戦術的決断」を下し、先に進むほど苦しくなっていく。
そんな「戦術的」な彼が、「フィンランドがNATOに加盟する前に打倒してしまおう」と考える可能性がある。
「加盟前なら、NATO軍は、フィンランドを助けないだろう。ウクライナがそうだったように」と。
ちなみに、私は、フィンランドがとても好きで、本の中で何回も紹介しています。
すでに「現代のヒトラー=プトラー」になってしまった彼が、最悪の決断を下さないよう祈りましょう。
【●重要PS】
ウクライナ問題と日本
この問題について、私と
・政治学者、ロバート・エンドリッチ先生
・元北海道議会議員、小野寺まさる先生
がライブで話しあいます。
自衛隊の視点、米軍の視点、ロシアの脅威を身近に感じて
いる北海道の視点、そしてロシアからの視点。
ごらんいただければ、この問題を大局的に、複眼的に見る
ことができるようになるでしょう。
迷わずご登録ください。↓
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