全ロシア将校協会がプーチンに辞任を要求
全世界のRPE読者の皆様、こんにちは!
北野です。
世界を見ると、北京オリンピックで盛り上がっています。
一方世界情勢の中心は、「ロシアーウクライナ問題」です。
はたしてロシアは、ウクライナに侵攻するのでしょうか?
@「ロシアがウクライナに侵攻する?ようわからん」という方は、まずこちらをご一読ください。知るべきことは全部わかります。
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https://diamond.jp/articles/-/294660
ロシアがウクライナに侵攻する?
ロシアは昨年11月から、ウクライナとの国境近くに10万人の大軍を集結させています。
ウクライナの北隣ベラルーシからも進軍できる状態をつくりつつある。
ところで、「なぜロシアは、ウクライナに侵攻したいの?」
プーチンは、NATOの東方拡大をずっと脅威に感じていました。
わかります。
ソ連崩壊時、「反ソ連(反ロシア)軍事同盟」NATOの加盟国は16か国だった。
それが今では30か国まで増えている。
アメリカは、拡大を止める気がなく、旧ソ連国のウクライナ、ジョージアを引き入れようとしている。
そして、何よりもプーチンが憤っているのは、「アメリカは1990年の東西ドイツ統一前に、NATOを東方拡大しないと約束したが、ウソをついた」ことなのです。
それでプーチンは、「ウクライナをNATOに加盟させない法的保証をしろ!」と要求しています。
「だからウクライナに侵攻する?」「いや、それはどうなんだ?飛躍しすぎなのでは?」そう考える人たちが、ロシアにもいるのです。
▼「全ロシア将校協会」衝撃の公開書簡
「全ロシア将校協会」という団体があります。
要するに、将校がつくる協会。
2月初め、その公式HPに衝撃的な内容が掲載されました。
【 プーチンの辞任を要求する公開書簡 】です。
ロシア語が読める人は読んでいただき、読めない人は、グーグル翻訳でも、内容をある程度理解できるでしょう。
何が書いてあるのでしょうか?
全部訳すのは大変なので、重要ポイントを要約しておきます。
▼ロシアの脅威とは?
この書簡で、「全ロシア将校協会」のイヴァショフ会長は、これまでのソ連やロシアの戦争は、他に選択肢がなくなった時の「正義の戦争」だったと強調します。
(@彼の念頭にあるのは、ナポレオンがロシアに攻め込んできたとき、あるいはヒトラーがソ連に攻め込んできたときなどでしょう。要するに「自衛戦争」だったと。しかし、1979年からのアフガン戦争のように世界的に非難された戦争もありました。)
では、今のロシアに、生存を脅かすほどの脅威があるのでしょうか?
イヴァショフは、脅威はあるが内政にかかわるものであるとしています。
「国家モデル」「政権の質」「社会の状況」に問題がある。
今のような状態では、「どんな国でも、長く生存することはできない」と主張します。
では、プーチンが強調する、「外からの脅威」はどうでしょうか?
イヴァショフによると。
外からの脅威は存在するが、ロシアの生存を脅かすほどではない。
< 全体として、戦略的安定性は維持されており、核兵器は安全に管理されており、NATO軍は増強しておらず、脅迫的な活動をしていない。>
▼ロシアーウクライナ関係
ロシアには、外からの大きな脅威が存在しない。
では、今起こっている混乱と対立の原因はなんなのでしょうか?
イヴァショフは「人工的なものだ」と断言します。
「人工的」というと、今までのロシアでは、「アメリカが黒幕だ!」ということが多かった。
ロシア人のおそらく90%ぐらいは、「アメリカ陰謀論者」です。
そして、プーチンが「ウクライナをNATOに入れるな!」と要求している件について。
イヴァショフは、ソ連崩壊の結果ウクライナは、独立国家になり、国連加盟国になった。
そして、国連憲章51条によって、ウクライナは、個別的自衛権、集団的自衛権を有している。
どうすれば、「ロシアの友好国」にとどめておくことができるのでしょうか?
イヴァショフによると、ロシアの国家モデルと権力システムが魅力的なものである必要があった。
ところが、ロシアモデルは、魅力的にはなりませんでした。
事実上すべての隣国とその他の国々を遠ざける結果になったと、イヴァショフは嘆きます。
そして、世界のほとんどの国がクリミアを今もウクライナ領と認識している。
このことは、ロシア外交と内政の失敗をはっきりと示している。
<最後通牒と武力行使の脅威によってロシアとその指導部を愛させる試みは無意味で非常に危険だ。>
▼ウクライナ侵攻の結果は?
そしてイヴァショフは、「ウクライナ侵攻」がなぜダメなのか解説します。
第1に、国家としてのロシアの存在を危ういものにする。
第2に、ロシア人とウクライナ人を永遠の敵にしてしまう。
第3に、ロシアとウクライナの若くて健康な男性が、数万人亡くなる。
さらに興味深いことに、イヴァショフは、NATOが結局ウクライナ側に立ち、ロシアに宣戦布告する。
ロシア軍はNATO軍と戦うことになると予測しています。
<さらに、ロシアは間違いなく平和と国際安全保障を脅かす国のカテゴリーに分類され、最も厳しい制裁の対象となり、国際社会で孤立し、おそらく独立国家の地位を奪われるだろう。>
イヴァショフは、ウクライナ侵攻によってロシアは「独立国家の地位を奪われる」としています。
それはともかく、国際社会で孤立し、厳しい制裁によって、ロシア経済がボロボロになることは間違いないでしょう。
▼ウクライナ侵攻、真の目的は?
ここからが興味深い。
イヴァショフは、プーチンも政府もロシア国防省も、これらの結果を理解しているとしています。
悲劇的な結果を理解しているのなら、なぜロシアの大軍はウクライナ国境に集結しているのでしょうか?
イヴァショフさんの結論は、衝撃的です。
・指導者たちは、国をシステム危機から救うことができないことを理解している。
・それ(システム危機)は、民衆の蜂起と政権交代を引き起こす可能性がある。
・指導者たちは、新興財閥、腐敗した官僚、マスコミと軍人、警察、諜報機関の支援を受け、ロシア国家の最終的破壊、ロシア国民を絶滅するための政治路線を活性化させる決定をくだした。
このことと「ウクライナ侵攻」のつながりは?
・戦争は、しばらくの期間、反国家的権力と、国民から盗んだ富を守るための手段だ。われわれは、他の説明を提示することができない。
そして、全ロシア将校協会は、プーチンの辞任を要求しています。
どうでしょうか?
イヴァショフさんの見解が正しいのか、私にはわかりません。
しかし将校を束ねる協会が、プーチン政権をこのようにみているという事実は重要でしょう。
プーチンが辞めるかどうかはともかく。
ウクライナ侵攻がなくなり、平和が維持されることと願います。