池上彰さんも大胆に予測していますね。
全世界のRPE読者の皆さま、あけましておめでとうございます!
皆さまが今年一年、健康で幸せで豊かでありますように!
皆さん、年末年始は、いかがお過ごしでしょうか?
私は、妻子と共にスキーにいったり、温泉にいったりしていました。
どこに行っても人だらけで、活気が戻っているのがわかります。
ありがたいことです。
しかし、油断はできません。
1月3日の新型コロナ新規感染者数は、「3か月ぶりに700人ごえ」だそうです。
残念ながら、まもなく「第6波」が来るでしょう。
それでも、2020年とは状況が違います。
2020年は、新型コロナのことが全然わからなくて恐怖でした。
マスクを入手するのも困難だった。
今は、新型コロナのことがよくわかり、マスクはどこでも買うことができる。
ワクチン接種で、高齢者の死亡率が劇的に下がっている。
飲み薬もできている。
「波がくる」といえば、ナーバスになりますが、大局的に状況はよくなっている。
ですから、凹まずに進んでいきましょう。
新年一発目ということで、「2022年、世界はどうなる?」を考えてみます。
▼大局を知ろう
私はいつも、大局の話をします。
大きな流れです。
1945年から1991年は、「冷戦時代」、別の言葉で「米ソ二極時代」でした。
二極のうち一極が消滅し、一極だけ残った。
1992年から世界は「アメリカ一極時代」に突入しました。
この時代は、今もつづいているのでしょうか?
それとも、すでに別の時代になっているのでしょうか?
そう、「アメリカ一極時代」は2008年、リーマンショックからはじまった「100年に1度の大不況」で終わったのです。
2009年、「米中二極時代」が到来しました。
さらに2018年、ペンス副大統領(当時)の、「反中演説」から、「米中覇権戦争」がはじまりました。
今は、「米中二極時代」の「米中覇権戦争時代」です。
そして、「米中二極時代」がはじまった2009年から、2020年まで、重要なファクターがありました。
それは、2009年から2020年まで、「中国が有利だった」という事実です。
たとえば2015年3月、「AIIB事件」が起こりました。
中国が主導して作った「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)。
中国は、「皆さんAIIBに入ってください!」とよびかけた。
アメリカは、同盟国、親米諸国に、「AIIBに入るなよ!」と要求しました。
ところが、「特別な関係にある」といわれるイギリスが裏切った。
それにつづいて、日本をのぞくほとんどすべての「親米諸国」がAIIBに入ってしまったのです。
ちなみにAIIBの参加国は、すでに100か国まで増えています。
この事実から、「2015年時点で、中国が有利だった」ことがわかります。
では、2020年はどうでしょうか?
2020年といえば、「中国発新型コロナウイルスの年」です。
しかし、中国は強権を発動し、新型コロナの感染拡大をおさえこむことに成功しました。
一方、アメリカは、感染者数、死者数とも世界一でボロボロ。
この事実から、2020年の時点でも、まだ中国が有利な状況であることがわかります。
▼2021年は逆転の年
しかし、2021年は状況が変わりました。
アメリカでは、「親中」といわれるバイデンさんが大統領になった。
彼は、「反日」でもある。
私は一昨年末から昨年初め、「バイデンは、確かに親中反日です。しかし、米中覇権戦争はつづいていくし、日米関係はむしろよくなります」といいつづけてきました。
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・日本の地政学
詳細は↓
をご一読ください。日本が中国に勝つ、確実な方法もわかります。)
バイデンというか、側近のブリンケンさんとかサリバンさんが優秀なのでしょう。
2021年、アメリカは、「反中包囲網」を強化拡大することに成功しました。
日米豪印の「クアッド」が強化された。
トランプ時代バラバラだったG7が再結束し、しかも反中になった。
トランプ時代バラバラだったNATOが再結束し、しかも反中になった。
BBC NEWS JAPAN 2020年6月15日を見てみましょう。
<北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が14日、ベルギー・ブリュッセルの本部であり、中国の軍事的脅威に懸念を示す首脳宣言を発表した。中国の行動は「全体にとっての挑戦」だとした。>
このことは、とても重要です。
なぜ?
それが去年、「反中国の軍事同盟」にもなった。
9月には、アメリカ、イギリス、オーストラリアの反中同盟「AUKUS」ができました。
「クアッド」「G7」「NATO」「AUKUS」これらは、すべて「反中包囲網」です。
2020年まで、世界の「バランスオブパワー」が崩れていました。
要するに、中国が強くなりすぎていた。
バイデン政権は、1年かけて「バランスオブパワー」を回復させたのです。
▼自滅にむかう中国
一方の中国はどうでしょうか?
これは、習近平「二つの失策」で自滅にむかい始めました。
「二つの失策」とは何でしょう。
一つは、「戦狼外交」。
中国は、どの国に対しても強硬なのです。
それで、どんどん敵が増えています。
思い出してください。
「AIIB事件」があった2015年、世界の大部分の国がアメリカより中国を選びました。
しかし、その後、「香港問題」「台湾問題」「ウイグル問題」「新型コロナ起源問題」などで、どんどん反中の国が増えていった。
ここ数年で、「親中」から「反中」になった国。
たとえば、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアなど。
さらに、中印国境紛争再燃で、インドもさらに反中になりました。
反中になったのは、いずれも強力な国です。
中国は最近、台湾大使館開設を許可したリトアニアを「ゾウの足の裏にいるネズミかノミ!」と呼び、バルト三国を敵に回しました。
中国外交、万事こんな感じなので、今後ますます敵が増えていくことでしょう。
もう一つの失策は「共同富裕」です。
最近、習近平は、こればかりですね。
意味は、「皆で金持ちになりましょう」。
しかし、実際は、「ただの金持ちバッシング」になっています。
そして、習近平は昨年、歴史的迷言によって、バブルを崩壊させました。
その「迷言」とは、「マンションは住むためのもので、投資するものではない」です。
怖い独裁者がこんなことをいえば、誰も不動産投資できなくなります。
それで、「恒大ショック」が起こり、中国はバブル崩壊過程に入ったのです。
というわけで、2021年は、「アメリカと中国の関係が逆転した年」「アメリカが、2009年以降初めて有利になった年」といえるのです。
▼2022年のトレンド
では、2022年はどんな年になるのでしょうか。
まず新型コロナ。
現在オミクロン株が猛威を振るっています。
しかし、ワクチンがあり、飲み薬も出てきている。
2020年、2021年とは、状況が異なっています。
それで、20年、21年より、ずいぶんマシになっていくでしょう。
経済活動の再開が進み、世界経済、日本経済復活の原動力になります。
一方、世界経済のマイナス要因は、「中国バブル崩壊」です。
「経済活動再開」というポジティブ要因を、「中国バブル崩壊」というネガティブ要因が相殺する。
とはいえ、「経済活動再開」というポジティブ要因の方が強く、緩やかに回復するでしょう。
世界情勢を見ると、アメリカの反中包囲網は、ますます強化され、中国の孤立はさらに進みます。
注目地域は、台湾とウクライナですね。
皆さんご存知のように、ロシアは、ウクライナ国境に大軍を集結させています。
これは何でしょうか?
プーチンは、「アメリカは中国との戦いで手いっぱいだ。ウクライナにかまっている暇はない。妥協を引き出せる」と狡猾に状況を読んでいるのです。
彼の望みは、ウクライナをNATOとの緩衝地帯として残すこと。
アメリカとロシアの交渉がつづいています。
というわけで2022年の世界は、
・反中包囲網はさらに強化され、中国の孤立化がますます進む
・世界経済は、「経済活動再開」というポジティブ要因を「中国バブル崩壊」というネガティブ要因が相殺する。しかし、ポジティブ要因が強く、ゆるやかに回復する。
・紛争が起きる可能性があるのは、台湾とウクライナ。
ということですね。