日蓮正宗のススメ

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1215夜:御授戒にはどのような意味があるのでしょうか?

御授戒とは?

【質問】
入信時に受ける御授戒ごじゅかいについて、教えてください。

【回答】
御授戒ごじゅかいとは、一般世間の人が初めて仏法に帰依きえする時に、かいさずけられる儀式ぎしきであります。戒を受ける側の立場からは、受戒ともいいます。

日蓮正宗に入信する時は、いかなる人も紹介者の所属寺院にもうでて、必ずこれを受けることになっています。

さて、かいとは何かということですが、仏教はかいじょう三学さんがく要括ようかつされておりまして、まずかいとは、ふせぎ悪をとどめること。つまり、何が善で何が悪かを明らかにし、悪いことを行なわぬようにいましめ、善いことを行なうようにすすめていくことであります。

このかいを受けてじょう――すなわち心を正しいところに定めて動かさぬ境地へと進み、そこに――すなわち物事の筋道を明らかに判断していける智慧ちえが起きてくるのであります。したがって、かいを受けることこそ、仏道修行の始まりといえましょう。

かいの内容について少々述べますと、釈尊の仏教におきましては、一般道徳の元ともされる五かい――不殺生ふせっしょうかい不妄語ふもうごかい不偸盗ふちゅうとうかい不邪淫ふじゃいんかい不飲酒ふおんじゅかい――から始まって、八斎はっさいかい・二百五十かい・五百かい等々、無数の戒律が説かれています。

しかしながら、末法時代に生を受けた私達衆生しゅじょうは、過去に善根ぜんこんを積んでいない荒凡夫あらぼんぷですので、こうした無数の戒律をたもとうとしても、ほとんど不可能であるのみか、かえって主体的な人間性を抑圧したり、二重人格的な偽善となったりして、まったく有害ゆうがい無益むえきであります。

こうした末法衆生しゅじょうのために、日蓮大聖人は三大秘法の御本尊をあらわされ、この御本尊を受持じゅじ信仰していくところに、おのずから一切のかいの意義と功徳くどくそなわってくるという、根本のかいを示されたのです。したがって、今日におけるかいとは、御本尊受持じゅじ一行いちぎょうでありまして、これを受持じゅじそく持戒じかいというのです。

そのことは、『教行証きょうぎょうしょう御書』に

法華経の本門の肝心妙法蓮華経は、三世さんぜ諸仏しょぶつ万行ばんぎょう万善ばんぜんの功徳を集めて五字とり。此の五字の内にあに万戒の功徳を納めざらんや。但し此の具足ぐそくの妙戒は一度たもって後、行者破らんとすれども破れず。是を金剛宝器戒こんごうほうきかいとや申しけんなんど立つべし。三世さんぜ諸仏しょぶつは此のかいたもって、法身ほっしん報身ほうしん応身おうじんなんど何れも無始むし無終むしゅうの仏に成らせ給ふ」(御書一一〇九頁)

おおせのように、この受持じゅじそく持戒じかいの妙戒をたもち、ひたすら御本尊に向かって唱題に励む時、万戒の功徳くどくを得ることができるのであります。

しかも、一度この妙戒を受持じゅじすれば、どのようなことがあっても、自らも他からも、身にそなわったかいが再び破られることはありません。たとえ退転たいてんして悪道にちたとしても、いつか必ずかいの徳があらわれて、再び仏法にめぐい、ついに成仏の境涯を得ることになります。この絶対にこわれることのない妙戒を、金剛宝器戒といいます。

さて、入信者は全て、寺院の御本尊の御前にて、御本仏日蓮大聖人より法体ほったいを継承されてきた御法主上人猊下の御名代たる御僧侶から、戒文を受けます。これは、すなわち爾前にぜん迹門しゃくもん等の邪法・邪師の邪義(一切の謗法ほうぼう)を捨てて、正法しょうぼう・正師の正義たる文底もんてい独一本門の御本尊を信じ奉り、これに本門の題目を唱え、信行に励むことを固くお誓い申し上げることであり、もって金剛宝器戒が結ばれるのであります。

したがって、御授戒ごじゅかいを受け、信行に励む者には、はかり知れぬ功徳くどくが積み重ねられていくのです。