全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
昨日のRPEで私は、
バイデン政権が、ロシア金融最大手ズベルバンク、2位VTB、その他大手銀行群に制裁を科した話をしました。
ズベルバンクは、ロシア人1億4600万人のうち1億人が利用している。「未成年以外ほとんどの人が使っている銀行」という話でした。
日本でも世界でも、「バイデンの制裁はプーチンを止める力がない」と批判されていて、確かにその通りでしょう。
しかし、「バイデンはやるべきことをやっているのだ」と。
▼「戦術的勝利」と「戦略的敗北」
そして私は、ロシアの【戦術的勝利】と【戦略的敗北】という話をしています。
ロシアは2014年3月、ほぼ無血でクリミアを併合し、「戦術的大勝利」をおさめました。
しかし、その後の制裁で、経済がまったく成長しなくなった。
ロシアは2000〜08年、年平均7%成長していた。
ところが、クリミアを併合した2014年から2020年までは、年平均0.38%しか成長していない。
だから、ロシアは【戦略的には敗北しているのだ】と。
▼欧米が決意した「死の制裁」とは?
そして、昨日2月26日、どうやら、
プーチンの【 戦略的敗北 】が確定したようです。
なぜ?
欧米が、ロシアを【 SWIFTから排除すること 】を決めたからです。
<米欧、ロシアのSWIFT排除で合意ロイター2/27(日) 7:38配信
[ベルリン 26日 ロイター] -
米欧は、ロシアを国際銀行間の送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することで合意した。独政府報道官が26日に発表した。米国、フランス、カナダ、イタリア、英国、欧州委員会が合意した。>
@注意が必要ですが、ロシアのすべての銀行がSWIFTから排除されるわけではないようです。
詳細は、今日中にでてくるでしょう。
▼SWIFTとは?排除されたらどうなる?
皆さんも最近よく聞く言葉でしょう。
SWIFTとは何でしょうか?
排除されるとどうなるのでしょうか?
「ナレッジ・インサイト」2020年2月6日 木内登英(たかひで)さんの記事を見てみましょう。
<SWIFTとは、ベルギーに本部を置く銀行間の国際的な決済ネットワークである。SWIFTには200以上の国や地域の金融機関1万1千社以上が参加しており、そのネットワークを経由しないと送金情報を伝えられず、国際送金ができない。>
「SWIFTから除外されたらどうなるの?」
一言でいえば、【国際送金ができなくなる】のですね。
<決済額は1日あたりおよそ5兆〜6兆ドル(約550兆〜660兆円)に上るとされ、事実上の国際標準となっている。
中国を含め、米国と対立する多くの国々にとって大きな脅威であるのは、米国が経済制裁の実効性を高めるため、しばしばこのSWIFTを利用するということだ。
例えば、米国の経済制裁の対象となった国で、企業が制裁逃れを図って海外企業と貿易を行おうとしても、その国の銀行がSWIFTのネットワークから外されれば、資金決済ができないため貿易は難しくなる。>
「国際送金ができなくなるとどうなるの?」ですが、答えは、「貿易が難しくなる」です。これは、大変なことでしょうか?
大変なことです。
ロシアは、資源輸出でなりたっている国です。
他のほとんど製品は、輸入に頼っている。
輸入が止まってしまったら、どうなるのでしょうか?
正確にはわかりませんが、ルーブルが大暴落し、物不足になり、ものすごいインフレになるでしょう。
ロシア経済は、壊滅的打撃を受けます。
欧州は、これまでロシアのSWIFT排除に消極的だった。
理由は、欧州がロシアの石油、天然ガスに依存しているからです。
ロシアがSWIFTから排除されたら、欧州はロシア石油、ガスの支払いをどうするのでしょうか?
前述のように、すべてのロシア銀行がSWIFTから排除されているわけではない。
これは、「欧州がロシアとの石油、ガス取引だけを継続できるように」ということなのでしょう。いずれにしても、私たちが覚悟しなければならないのは、石油価格のさらなる高騰と、インフレです。
ロシアと欧州の取引が継続すれば、原油価格の上昇は、心理的なものにとどまるでしょう。
しかし、激怒したプーチンが、「欧州へのエネルギー供給を制限しろ!」となれば、原油価格がバレル200ドルまで上がっても驚きません。
コロナで止まっていた経済が動き出し、ようやく光がみえてきたときに、「ロシアのSWIFT排除」。(全銀行が対象ではないですが。)
本当に困ったことですが、プーチンを止めるためには、ここまでやる必要があるのでしょう。
いずれにしても2022年2月26日、プーチンの【 戦略的敗北 】は確定したようです。