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人新世の「資本論」 – 斎藤 幸平 (著) 読了

 

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コロナ後の世界について、ハラリ教授と斎藤さんで意見交換してほしいな。
人新世の「資本論」 (集英社新書)

人新世の「資本論」 (集英社新書)

 

著者のNHKの100分で名著の資本論、山口周さんの本のほか、書店で資本論関連のものが多く、資本論?何を今さら、、ソ連で失敗したし、明らかに時代遅れやろ、、と思い、冷やかし半分で手に取りました。序盤から今はやりのエコバッグ買うだけじゃダメとの問題提起に続き、そもそも今まで資本論を誤解していたことに気づきます。ソ連資本論の解釈適用を間違えていたのですね(ソ連は中途半端な資本主義をやっていたように思えます。)。資本論がこんなにも資本主義を正確に分析していることに気づかされ、何で読まなかったんだ、、私何してたんだろ、、何も考えずに生きてきた、、と激しく後悔。。
本書は具体的事例が多いですし、批判だけでなく、じゃあどうするか?という立論もよく練られたものだと思います。勇気がわいてきます。
コモンという響きから、カンボジアポルポト政権のように、都市から農村へ人を強制移住させることにも繋がりかねないなと懸念していたのですが、明確に否定されてます。
本書を読んで私見を述べます。20世紀の社会主義は失敗したといってよいでしょう。その理由はというと、資本論の解釈適用を間違えているほか、そもそも20世紀は資本論の適用の前提を欠いていた(資本論を適用できる状況、条件が整っていなかった)のではないかとも考えられます。20世紀は資本主義の発展段階で伸び白がある時代であり、物資の充実化も今に比べて発展途上のため、一部の意識高いインテリを除き、一般の人々からしても、資本主義は豊かさをもたらすというイメージが強固であったと思うのです。資本主義国においても資本論が誤解されていたこともあるでしょう。

一方、日本は世界一成功した社会主義国とも言われてます。野口悠紀雄氏の、1940年体制でもふれられてますが、戦時中の政府がケインズ主義のもと立案した社会主義的政策を戦後政府も受け継ぎ、高度経済成長を成功させたものとの理解です。

付随的であるものの、自由競争の促進を趣旨とする独禁法を起草した元通産次官の両角氏は日経の私の履歴書において、実は独禁法成立に反対の立場であったことをうかがわせることを述べてます。独禁法の立案担当者の両角氏でさえ、企業間の競争は必ずしもよくないとのことを述べられてますね。
城山三郎官僚たちの夏で特振法が大きく取り上げられますが、あれも社会主義的な政策のようにみえます。

本書の著者には、世界的な視点で見た経済史のほか、戦後日本経済史に焦点もあて、何か今後のために参考にできることはないかと検討もしていただきたいと希望いたします。そういった本を出版いただければ、絶対読みます(笑)

100分で名著の資本論の方が、資本論の基本から解説されてるので、資本論の基本を理解されたい方はぜひそちらもご覧下さい。

こういったことを主張、実行される方が増えていくことで社会は、誰かを犠牲にしてようやく成り立つ社会から脱皮できると信じます。私も頑張りますよ!

ただし著者の言う通り実現のための行動はまさに熾烈な闘いとなることは容易に想像がつくわけで。提唱された3.5%の本気の活動家の連帯も、日本で言えばざっくり350万人。そんなんもう一大民衆運動だし、それだけの人を闘いに動員するには恒常的な励ましのネットワークが必要で。。

一過性の運動で終わらないための具体的な器がないと個別撃破されて終わる未来しか見えない。
ここから先は我々が思索し試行する領域になるのかな。 

久しぶりにマーカーを持って線を引きまくりまくった良書。マルクスの晩年の考え方(その詳細や真偽はよくわかりませんが)をわざわざ裏付け(箔付け)としなくても、資本主義の直面している問題、気候変動問題に対する一つの処方箋としては、非常に興味深い著作。ただ、実際、資本主義は人間の欲望をドライバーとしたシステム。これを「脱成長志向」で解決するには、ものすごいリーダーシップが必要だと思います。結局「持たない者達」が資本家、企業経営者や政治家といった権力者達に抗うためには、団結して、「数」で戦うしかない。

ここで、思ったのが我が国の350万人という数字。

創価民・顕正民・法華講民の活動家を合わせた数字じゃね?

ってね。

くだらねえ公明党押しをやめた、非活創価民が日蓮正宗に合流し、顕正民の残留孤児も合わせりゃ、これくらいになるんじゃないのかな。

広宣流布ってさ、資本主義的強欲にあるんじゃない。

小欲知足にあるんだ。

だから、脱成長コミュニティを信心を礎に築けばいいなってね。 

大洪水の前に:マルクスと惑星の物質代謝 (Νuξ叢書)

大洪水の前に:マルクスと惑星の物質代謝 (Νuξ叢書)

  • 作者:斎藤幸平
  • 発売日: 2019/04/30
  • メディア: 単行本
 

副読本にサピエンス全史がいいかもね。

人類の歴史を解釈した歴史哲学の本だけど、副題が文明の構造と人類の幸福なんだ。

著者のユヴァル・ノア・ハラリは、歴史学者でありながら未来学者のような活動をしている。歴史を前提とした未来予測を行っているんだ。

その予測も面白いんだけど、やっぱり、彼が解き明かした文明の構造には、人類を幸福にしない要素があることを指摘している。

構造は出来上がってしまったものだけど、人類の叡智と連帯で改良できるはずだ。

革命ではだめだ。机上の空論はさらなる不幸を拡大再生産する恐れがある。

それは20世紀の社会主義実験が証明して見せた。

3.5%の 働きかけが徐々に社会を漸進させながら、トライ&エラーを繰り返し改良することができると信じたい。

出来なければ絶滅するほかないところまで来ていることが分かった。