安倍外交に暗雲
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
偉大な成果をあげてきた安倍外交。
しかし、一つの目標に達したことで気が緩んだのか、危険な方向に向かう兆候がでてきています。
▼安倍外交を振り返る
2012年、日本で安倍内閣が発足しました。
中国では同年、習近平政権がはじまっています。
日米関係を破壊した民主党政権。
日中関係も破壊しました。
2012年9月、日本政府は尖閣を国有化し、日中関係は「戦後最悪」になっていたのです。(私は、「尖閣国有化」を支持しますが、それで日中関係が最悪になったのは、「事実」です。)
そして、ロシアを見れば、メドベージェフが北方領土を訪問する。
韓国を見れば、李大統領(当時)が、竹島を訪れ、また「日王が韓国に来たければ謝罪せよ!」などと暴言をはき、日本国民を激怒させていた。
民主党が政権にいたのは、わずか3年です。
この3年間で、彼らは、アメリカ、中国、ロシア、韓国との関係を見事に「最悪」にしたのです。
「尖閣国有化」に激怒した中国。
2012年11月、ロシアと韓国に、「一緒に日本を破滅させよう!」と提案します。
皆さんご存知の「反日統一共同戦線戦略」です(●全日本国民必読、完全証拠はこちら。大拡散希望。)
↓
http://rpejournal.com/rosianokoe.pdf
戦略の骨子は、以下のとおり。
・中国、ロシア、韓国で【反日統一共同戦線】をつくろう
・中ロ韓で、日本の領土要求を断念させよう
・日本に放棄させる領土とは、北方4島、竹島、尖閣そして【 沖縄 】である
・日本に【 沖縄 】の領有権はない!!!!!!!
・反日統一共同戦線には、【 アメリカ 】も入れなければならない!!!
私はこの記事を見て、「嗚呼、新日中戦争がはじまった!」と嘆きました。
そして、これに対抗する戦略を提示しました。
中国の戦略は、日米、日ロ、日韓関係を分断し、孤立させ破滅させること。
だから、日本は、反対のことをすればいい。
つまり、
・日米関係ををますます強固にすること
・ロシアと良好な関係を築くこと
・韓国と和解すること
シンプルな戦略ですが、実現は簡単ではありません。
2013年、安倍総理は、中国の罠にはまっていました。
中国は大金を使って反日プロパガンダを行い、大きな成果(?)をあげていた。
朴槿恵は「告げ口外交」で、反日プロパガンダに大きく貢献しました。
そして2013年12月。
総理の靖国参拝をきっかけに、世界的日本バッシングが起こります。
これを非難したのは、中韓だけでなかった。
アメリカ、イギリス、ドイツ、EU、ロシア、オーストラリア、シンガポール、そして世界一親日の台湾まで靖国参拝を批判したのです。
日本の政治家のほとんどは、「反日統一共同戦線戦略」の存在を知らないので、仰天しました。
「小泉さんは在任中6回も靖国を参拝したが、ほとんど問題にならなかったではないか!?」と。
世界で、「なぜこれほどバッシングされるのか?」その理由を知っていたのは、RPE読者さんだけだったのです。
しかし強運安倍総理は、救われました。
2014年3月、プーチン・ロシアがクリミアを併合したからです。
反安倍だったオバマさんは、「反ロシア制裁網」を築く必要がでてきた。
それで、日本と和解して、制裁網に引き入れたのです。
2015年3月、今度は「AIIB事件」」が起こりました。
イギリス、フランス、ドイツ、イタリア,スイス、オーストラリア、イスラエル、韓国
など、「親米諸国群」がアメリカを裏切り、中国主導「AIIB」への参加を決めた。
日本だけは、AIIBに入りませんでした。
それで日米関係は大きく改善された。
さらに同年4月、安倍総理はアメリカで「希望の同盟」演説をした。
これで、日米関係は、これまでにないほど良くなった。
オバマさんは、「日米関係がこれほど強固だったことはない!」とツイートしました。
こうして、日米を分断しようとする中国の野望は阻止されました。
そして2015年12月、慰安婦合意がなされた。
これ、「案の定」というか韓国側が約束を守っていません。
それでも、中国の戦略は、「日韓を分断すること」ですから、日韓が和解するのは、戦略的にいいことなのです。
2016年12月、プーチンが訪日し、日ロ関係は劇的に改善されました。
中国の戦略は、日米、日ロ、日韓関係を破壊し、日本を孤立させ、破滅させること。
対する日本の戦略は、日米、日ロ、日韓関係を良好にし、中国の「反日統一共同戦線戦略」を「無力化」させること。
安倍総理は、2015年、2016年を通してこれを成し遂げた。
戦略を無力化された中国は、仕方なく日本側に擦り寄るようになってきました。
これで、安倍外交は、ひとまず勝利を得たといえるのです。
しかし・・・。
▼安倍外交に暗雲
ところが最近、安倍外交に危険な兆候が出てきています。
もう一度思いだしてみてください。
中国の戦略は、日米、日ロ、日韓関係を破壊し、日本を孤立させ、破滅させる です。
対する日本の戦略は、日米、日ロ、日韓関係を良好に保つことで、「反日統一共同戦線戦略」を「無力化」させること。
覚えておかなければならないのは、日本の戦略は、「不変」だということです。
油断せずに、ず〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜と続けなければならない。
いつまで?
とりあえず、中国で体制転換が起こるまでです。
少なくとも後6〜10年はつづける必要があるでしょう。
ところが、最近、安倍政権は油断しているのが見え見えです。
日米関係はどうでしょうか?
表面的には良好な関係が維持されています。
しかし、安倍内閣は、米中戦争が本格化したとたんに日中関係を大きく改善させた。
これは、アメリカからみると、「裏切り行為」に見えます。
日ロ関係はどうでしょうか?
1956年の「日ソ共同宣言」を今後の交渉の基礎とすることで合意しました。
これは、「4島一括返還論」から「2島先行返還論」への大きな転換です。
「大きな譲歩」ともいえるでしょう。
ところが、その後ロシア側から、いろいろ要求がでてきた。
プーチンは、「日ソ共同宣言には、返還後の主権がどちらに属するか書かれていない」
などと「屁理屈」のようなことをいっている。
ラブロフ外相は、「返還要求は、国連憲章違反だ!」などといっています。
これらの発言を聞いて、日本側では、ロシアへの「不信感」が増大しています。
これは何なのでしょうか?
4島だろうが2島だろうが、戦争で強奪した島々を返還することは、ロシアにとって「大損」なのです。
だから、「あ〜だこ〜だ」いってくる。
正直いえば、ロシアは、「領土」の話を全然したくない。
では、何がしたいかというと「金儲け」の話です。
日ロ関係は、「金儲けの話中心」のときは良好であり、日本側が「領土問題の話中心」になると、途端に悪化します。
日本国民がムカつくのはわかりますが、それで一番喜ぶのは習近平であることを、私たちは一瞬たりとも忘れてはなりません。
もうすぐ安倍さん、またプーチンに会うそうです。
どうすればいいのでしょうか?
「金儲け」と「領土問題」の話の比率を「金儲け7」、「領土問題3」ぐらいにすることです。
総理、「私の任期中に北方領土問題を終わらせる!」などといってしまった。
急ぐと焦りが生じ、いらん譲歩を強いられることになりかねません。
あるいは、日本側がブチ切れて、日ロ関係が破壊されるか。
だから、急いではいけない。
金儲けの話と領土問題の話はわけて、比重は、
金儲け > 領土
とし、両国関係が悪化しないようにしなければなりません。
この点、安倍総理は、十分注意していただきたいと思います。
▼悪化する日韓関係
日ロ関係よりさらにひどいのが日韓関係ですね。
徴用工問題、レーダー照射問題。
日本国民が怒っているのはよくわかります。
私も韓国のニュースを見るたび、ムカつきますし、心臓が痛くなります。
それでも、「日韓関係が悪くなると、一番喜ぶのは習近平」と自分に言い聞かせます。
誤解しないで欲しいのですが、私は、韓国に対抗するのは大賛成です。
レーダ照射問題も、起こった直後に圧倒的証拠を韓国だけでなく全世界に見せるべきだった。
そして、「韓国が圧倒的に悪い」という国際世論を迅速につくるべきでした。
ところが、日本政府がノロノロやってるので、むこうが「日本の方が悪い」と反論する時間を与えてしまった。
中国との関係悪化を恐れ、証拠映像を出さなかった「中国漁船衝突事件」の時と比べると、少しはマシになっています。
それでも、「情報戦」はまだまだですね。
いますぐ山岡鉄秀先を招き入れ、情報戦を指揮していただくべきです。
とはいえ、それでも日韓関係が全面的に悪化するのは避ける必要があります。
日本では、「断交せよ!」とか「韓国の資産を差し押さえろ!」といった意見が力を増しています。
それで一番喜ぶのは習近平です。
私たちは大人なので、「感情的」に生きてはいけない。
「日本には沖縄の領有権はない!!!」と宣言し、領海侵犯を繰り返す中国に勝つために、「感情」を超え「戦略的」に生きなければなりません。
日本は戦前、強気強気で、「国益」を追求していました。
それでどうなりましたか?
原爆を二発落とされ、完全な敗北です。
この超非人道的な行動すら、「日本が悪かったこと」にされている。
それもこれも日本が「敗戦国」だからです。
昨年、米中覇権戦争がはじまりました。
両国とも大量に核を保有しているので、戦闘は起こりにくい。
それでも、戦争がはじまったことには変わりありません。
日本は現状「戦勝国側」にいます。
しかし、大戦略を忘れ、感情と欲望の赴くままに生きれば、また「敗戦国側」に転落です。
皆さん、世間は、韓国への怒り、ロシアへの怒りに満ちています。
とても理解できますが、私たちは「これって、中国の思惑どおりだな〜。一番喜んでいるのは、習近平だよな〜」
と戦略的に考えましょう。

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