全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
まず、お知らせから
2018年は、「米中覇権争戦争元年」です。
この戦いは、どっちが勝つのでしょうか?
ダイヤモンドオンラインさんに書きました。
まだの方は、いますぐこちらをご一読ください。
↓
https://diamond.jp/articles/-/184513
(●スマホで読めない方は、PCでお試ください。)
では、本題。
「米中貿易戦争」が「覇権争奪戦」に転化してきた。
「アメリカで親中派は絶滅した!」ともいわれ、「日本もガンガン中国バッシングを開始しろ!」
と勇ましい主張をする人もいます。
私は、「アメリカ国内の親中派が全滅した」という見方にとても懐疑的。
中国で儲けているアメリカ企業は、全面戦争(戦闘はなくても)には反対でしょう。
キッシンジャーは、95歳になった今も現役。
そして、「トランプが勝てたのはキッシンジャーのおかげ」という人もいます。
そんなキッシンジャーは、今の「米中覇権戦争」についてどう考えているのでしょうか?
▼キッシンジャー、米中は対立を回避できる
ブルームバーグ、11月6日付を見てみましょう」。
↓
<キッシンジャー氏:米中両国は対立激化を回避できると「楽観視」
ブルームバーグ 11/6(火) 16:05配信
ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官(95)は6日、米中両国は現在の世界秩序を破壊しかねない対立激化を回避できると「かなり楽観視」しているとの認識を示した。>
<世界秩序を破壊しかねない対立激化を回避出来ると「かなり楽観視」している>
そうです。
<キッシンジャー氏はシンガポールで開かれているブルームバーグ主催の「ニューエコノミー・フォーラム」で、米中の貿易交渉担当者は細かい点にこだわり過ぎることを避
け、まず達成しようとしている目的は何か、またできる譲歩とできない譲歩はそれぞれどういったものかを互いに説明すべきだと述べた。>(同上)
「達成しようとしている目的」
「できる譲歩とできない譲歩」
を互いに説明すべきだそうです。
<40年余り前のニクソン政権下で大統領補佐官として中国との国交正常化に尽力し、その後も歴代の米大統領に助言を提供してきたキッシンジャー氏は
「ある程度の意見の不一致は避けられないが、世界秩序に対する希望が両国の根本的な対立によって損なわれることを両国が認識するという目標が必要だ」
と指摘。
「そうした目標は達成可能だと考えており、実際に達成されるとかなり楽観視している」
と語った。>(同上)
<世界秩序に対する希望が両国の根本的な対立によって損なわれることを両国が認識するという目標が必要>
だそうです。
ところで、「世界秩序に対する希望」ってなんですか?
キッシンジャーが発案した「新世界秩序」のことを
「G2」あるいは、「新型大国関係」といいます。
これは、なんでしょうか?
要するに、「アメリカと中国で、世界を共同統治しよう!」というのです。
彼は、自分の回顧録にも、堂々とこう書いています。
<周恩来首相と私が秘密訪問を発表するコミュニケで意見の一致をみた時、彼は「これは世界を揺るがすだろう」と言った。
四〇年の時を経て、米国と中国が世界を揺るがすのではなく、世界を構築する努力に一緒に取り組めるようになれば、なんと素晴らしいことだろう。>。(574p)
ルトワックさんは、このことで、キッシンジャーを厳しく批判します。
私たちも、「アホか!」と思います。
しかし、事実としてキッシンジャーは、「トランプ政権の最高顧問的存在」だったことを忘れてはいけないでしょう。
(トランプさんの側近は、コロコロかわるので、キッシンジャーが現在どの程度力をもっているのか、正確に把握するのは難しいですが。)
▼だから、日本は「反中バッシングの急先鋒」になるな!
既述のように、日本には、「アメリカがいよいよ中国征伐に乗り出した!」と喜んでいる人たちがいます。
それだけでなく、「乗り遅れるな!日本もガンガン中国を叩け!」
という人もいる。
こういう見方は、
「アメリカが、『中国打倒』で『一枚岩』になっている」
とすれば、まあ理解できます。
しかし、中間選挙の結果を見てもわかるように、アメリカは分裂しています。
しかも、だいたい「半半」で分断されている。
だから、トランプさんが、ずっと気合入れて中国打倒に取り組んでいくと、「決め打ち」しない方がいい。
日本が中国バッシングの急先鋒になれば、突然米中が和解して、梯子を外されたり、バックパッシングされて、日中戦争が起こったりというリスクが常につきまといます。
一番いいのは、
・アメリカとの関係をますます強化する
・中国を挑発しない
この二つです。
やたらと民族主義的になり、大国を叩きまくるのは、小国の特徴です。
たとえば、ジョージアやウクライナは、アメリカに利用され、ロシアと戦い、領土を失いました。
(ジョージアは、南オセチアとアプハジアを、ウクライナは、クリミア、ルガンスク、ドネツクを事実上失った。)
また、韓国も中国に利用され、日本バッシングを熱心にやった。
日本は、アメリカの同盟国ですが、中国に対し、韓国が日本にするような「品のないこと」をすべきではありません。
習近平に「こんにちは!」といってニッコリ微笑み、「お元気でいてください。さようなら!」といって帰ってくればいい。
しかし、いつも忘れてはならないのは、日本にとって
アメリカ >>>> 中国
という関係性です。
世界のリーダーが読んでいる戦略の書マキャベリの「君主論」を読んで、国際政治の流れをつかみましょう。一喜一憂しなくなります。日経ビジネス文庫の60分で名著快読 マキアヴェッリ『君主論』 (日経ビジネス人文庫)は、読みやすくわかりやすいのでお勧めです。

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