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【RPE】★アメリカ「INF条約から脱退へ」てなんですか〜?

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(1からわかる)

アメリカ「INF条約から脱退へ」てなんですか〜?


全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


今日の新聞を読んでいると、トランプさんが「INF条約脱退の意向を示した」ことが、大きく報じられています。

今回は、これについて学んでみましょう。

 

▼INF条約ってなんですか?

 

まず、基本から理解しましょう。

INF条約って何でしょうか?

「中距離核戦力全廃条約」(Intermediate-range Nuclear Forces、INF)のこと。

1987年にアメリカとソ連の間で締結されました。

背景は?

FNN PRIME10月21日に、フジテレビ解説委員 能勢伸之さんの解説が載っています。

 

<1976年、旧ソビエト連邦は、米ソ戦略核制限条約(SALTII)で、三段式SS-16大陸間弾道ミサイルと共通コンポーネントを使った二段式の中距離弾道ミサイルSS-20を就役
させた。

最大射程は約5000kmとされ、5500km以上とされる大陸間弾道ミサイルの範疇には入らない。

従って、戦略核兵器には当たらず、当時の戦略核制限条約の範疇外であり、同条約で生産や配備に制限を掛けることができない兵器だった。>

 

なんかよくわかりませんね。

射程距離5500km以上は、「大陸間弾道ミサイル」(ICBM)に分類されます。


米ソ冷戦時代、ICBMは、両国を完全破壊することができる。

それで、第一次戦略兵器制限交渉が行われ、1972年に締結されました。(SALT1)


ところが、ICBMつまり5500kmよりも短い射程のものは制限がない。

つまり中距離核ミサイルは、いくらでもつくれる。

そうなると、たとえば、アメリカの同盟国であるNATO諸国、日本などが危険にさらされます。

で、どうしたか?

 

<米本土には届かないが、米の同盟国・NATO諸国や日本には優に届く。これは、米国が同盟国に約束してきた拡大抑止“核の傘”の信頼性を損なうものだった。

そこで、NATOは1979年、米本土ではなく、NATO欧州諸国に配備すれば、ソ連に届くパーシングII準中距離弾道ミサイルとトマホーク巡航ミサイルの地上発射型グリフォン巡航ミサイル・システムの開発と配備、そして、ソ連と交渉を行うという「二重決定」を1979年に行った。>(同上)

 

一方で、「俺たちも中距離弾道ミサイルを配備するぞ!」と脅しつつ、

交渉のテーブルに引き出したと。

結果は?

 

<米ソがINF条約に署名したのが、1987年11月8日。

結果は、中曽根首相の主張通り欧州に限定せず、米ソ(後にロシア)は、射程500kmから5500kmの地上発射弾道ミサイル巡航ミサイルを全廃することで合意。>

(同上)

 

めでたく「中距離核戦力全廃条約」(=INF条約)締結となったのであります。

 

▼なぜアメリカは、IMF条約から離脱する?(アメリカの主張)

 

ところが、トランプは、「INFから離脱する」と宣言した。

なぜ?


<トランプ氏、核廃棄条約離脱の計画認める ロシアが違反と主張

10/21(日) 6:49配信

【AFP=時事】ドナルド・トランプDonald Trump米大統領20日、米国はロシアと結んだ歴史的な核廃棄条約からの離脱を計画していることを確認した。

ロシアが同条約に違反しているとの主張に基づく動き。

トランプ大統領は米ネバダ州エルコ(Elko)で記者らに対し、「ロシアは合意を順守していない。

そのため、われわれは合意を破棄する」と発言。>

 

アメリカがINFから離脱するのは、「ロシアが条約に違反しているからだ」と。

どういうことでしょうか?

去年2月のAFPを見てみましょう。

 

<ロシア、巡航ミサイルを新配備か 米「軍縮条約に違反」と警告

2017年2月15日 9:01 発信地:ワシントンD.C./米国

【2月15日 AFP】米紙ニューヨーク・タイムズ(New YorkTimes)は14日、ロシアが新たに地上発射型巡航ミサイルを実戦配備したと報じた。

1987年に米国とソ連軍縮に向けて調印した中距離核戦力(INF)全廃条約に違反する可能性があり、米国はロシアに対して同条約を順守するよう警告した。

ニューヨーク・タイムズによると、ロシアはこのミサイルを運用する複数の部隊を秘密裏に配備。

部隊の一つは南部アストラハン(Astrakhan)地方カプスチンヤル(Kapustin Yar)のミサイル実験施設に置かれているという。

INF全廃条約は当時のロナルド・レーガン(Ronald Reagan)米大統領ソ連ミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)大統領が調印したもので、射程500〜5500キロの弾道ミサイルを禁止している。>

 

▼ロシアの主張

 

一方、ロシアにはロシアの言い分があります。

「先に条約に違反したのは、アメリカの方だ!」というのです。

どういうことでしょうか?

10月20日AFPを見てみましょう。


<米国は、ロシアが2012年から条約に違反する新型の核巡航ミサイルの開発に着手、17年に配備したと非難している。

ロシアはこれに反発、米国が弾道ミサイル防衛(BMD)システムの整備を続けている点を「攻撃用に変更可能で条約違反だ」と指摘するなど、双方が非難合戦を続けている。>


アメリカの「弾道ミサイルシステム」(BMD)も「攻撃用に変更可能」で「条約違反」だそうです。

ロシアからみるとそうなるのでしょう。

もちろんアメリカは、「MDは防衛用で、条約違反ではない」と主張しています。

 

▼中国=もう一つのファクター

 

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アメリカがIMFから離脱するもう一つの理由があります。

それが、中国。

INFは、アメリカとソ連(現ロシア)の条約です。

中国は、なんの制限も受けず、好きなだけ中距離核戦力を増やすことができる。

トランプは「米ロがおとなしくしている間に真のライバル中国がどんどん強くなってしまう」と危機感をもっている。

FNN PRIME10月21日。

 

<米露が持てないカテゴリーのミサイルを中国が保有

だが、その後の中国軍の拡大が、情勢を大きく変えてしまう。

中国は、INF条約の当事者ではない。

そして、国連安全保障理事会常任理事国であり、いわば国際条約上、合法的核兵器保有国だ。

従って、INF条約当事者である米露が保有できない、射程500kmから5500kmの地上発射弾道ミサイル及び巡航ミサイルも開発・生産・配備が条約に拘束されずに行うことができるし、実際に行っている。>

 

こう見ると、アメリカがINF条約を離脱するのは、ロシアと中国に対抗するためなのですね。

もちろん、米ロ、米中関係は、さらに悪化することになるでしょう。

●PS1

激しさを増す「米中ロ三国志」。

ところが6年前、中国は、「米中ロで日本を叩きつぶそう!」と画策していました。

2013年末から14年はじめ、日本は、本当にやばかったのです。

しかし、安倍総理のおかげで救われました。

いったいこの世界の裏側で何が起こっているのでしょうか?

全部知りたい方は、いますぐこちらをご一読ください。

中国に勝つ 日本の大戦略 プーチン流現実主義が日本を救う

中国に勝つ 日本の大戦略 プーチン流現実主義が日本を救う

 

●PS2

「中国に勝つ日本の大戦略」は、主に「外交」の話でした。

しかし「内政の話もする必要があるな」ということで、現在本を書いています。

いままでの本とは、全然違う感じになりそうなので、楽しみにしていてください。